2025年11月19日（水）現在、前日の11月17日（月）に発表された日本の7〜9月期GDPが6四半期ぶりに縮小したニュースが注目を集めています。 本記事では、米国の関税引き上げが日本経済に与えた影響と、市場の反応をわかりやすく解説します。
日本政府が11月17日（月）に発表した2025年7〜9月期の実質GDPは年率換算で▲1.8％となり、6四半期ぶりのマイナス成長に転じました。背景には、米国が実施した日本向け輸入品への関税引き上げがあり、輸出の減少が成長の大きな押し下げ要因となっています。市場では「一時的な後退にとどまる」との声もありますが、今後の金融政策や為替動向を占う重要な材料となっています。
日本の7〜9月期GDPが▲1.8％、輸出減少が主因
2025年11月17日（月）、内閣府が発表した実質GDPは前期比▲0.4％（年率換算▲1.8％）となりました。特に輸出の減少が大きく、米国向け自動車の出荷が関税15％の影響を受けて落ち込んだことが主因です。また住宅投資の弱さも加わり、国内景況感には慎重さが広がっています。
関税と投資心理の変化が背景にある
今回の縮小の背景には、米国が日本からの輸入品に対して15％の関税を設定したことにより、輸出環境が悪化した点があります。自動車などでは駆け込み出荷の反動も生じました。さらに、家計の可処分所得がインフレに追いつかず、消費の伸びが0.1％にとどまったことも成長の重しとなりました。
国内外の政策・地政学要因も影響しています。エネルギー価格や供給制約に関連する世界的な不確実性が続いており、企業の投資判断にも慎重姿勢が広がっています。
この発表が注目される理由と波及効果
今回のマイナス成長は、景気の「転換点」となる可能性が意識され、市場に警戒感を与えました。日本銀行（BOJ）は政策金利0.5％を維持していますが、弱いデータを受けて年内の追加利上げを見送るとの見方が強まっています。輸出の減速は貿易パートナー国にも影響を及ぼし、世界の供給チェーンや需要構造に波及する可能性があります。
市場が示した反応（株式・為替・金利・コモディティ・暗号資産）
株式市場の動向
国内株式市場では、輸出関連株を中心に慎重な値動きとなりました。自動車・部品メーカーは関税の影響を懸念した売りが出やすく、投資家心理はやや弱含みとなりました。
為替市場の動向
為替市場では、ドル円が155円台を維持し、11月18日時点で155.52円を記録しました。景気後退懸念と金融政策の方向性から、円売り・ドル買いが進みやすい環境となっています。
債券・金利の変化
10年国債利回りは下落圧力が高まり、金融緩和継続観測が債券買いを誘発しやすくなっています。
原油・金などコモディティの反応
景気減速懸念から原油価格は上値の重い展開。一方、金はリスク回避資産として買われやすく、短期的な価格上昇につながりました。
暗号資産市場の値動き
暗号資産への直接的な影響は限定的ですが、リスク回避局面では代替資産としての需要が一部で見られました。
今後の焦点と投資家が注目すべきポイント
今後は10〜12月期に成長が回復するかが重要です。民間予測では0.6％前後の成長が見込まれています。また、BOJの金融政策、円安進行が企業収益と家計負担に与える影響、米中関係や貿易政策の動向など、複数の要因が今後の見通しを左右します。
ミニ用語解説
年率換算：四半期の成長率が1年間続いたと仮定して計算した指標。短期間の動きを長期の水準に置き換えて比較しやすくするために用いられる。
参考・出典
※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。
価格や指標は2025年11月19日時点の情報に基づいています。
