2025年11月28日(木)現在、11月27日に日経平均株価が7営業日ぶりに5万円台を回復したことが市場の注目を集めています。米FRBによる追加利下げ観測が背景にある中、米国市場が感謝祭で休場する特殊な環境下での日本株上昇の経緯と、今後の市場動向を解説します。
11月27日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比608円03銭高の5万167円10銭で取引を終えました。これは3日続伸となり、5万円の大台を11月17日以来10日ぶりに回復する形となりました。前日26日の米国株式市場では、FRBによる追加利下げ観測が継続する中、主要3指数が揃って上昇。特にフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が2.7%超の上昇となったことが、日本の半導体関連株への買い戻しを誘発しました。一方、米国は感謝祭の祝日により市場が休場となり、流動性が低下する中での取引となりました。
米国感謝祭で市場休場も、日本株は堅調な展開
11月27日は米国の感謝祭(サンクスギビングデー)で、ニューヨーク証券取引所やナスダックなど米国の主要取引所が終日休場となりました。感謝祭は毎年11月第4木曜日に設定されており、2025年は11月27日がこれにあたります。翌28日もブラックフライデーとして午後1時(米国東部時間)に早期閉場となるため、米国市場は実質的な連休入りとなりました。
このような市場環境の中、東京市場では前日の米国株高を受けて、寄り付きから買いが優勢となりました。特に半導体関連株への資金流入が顕著で、アドバンテストやソフトバンクグループなどが大幅高となり、日経平均を牽引しました。東証株価指数(TOPIX)も終値で11月13日につけた最高値をザラ場で上回る場面があり、市場全体に底堅さが見られました。
FRB追加利下げ観測が市場を後押し
日本株上昇の背景には、米国における金融政策への期待があります。26日に発表された米国の経済指標が市場予想を下回る内容となったことで、FRBが12月の金融政策決定会合で追加利下げを実施するとの観測が強まりました。大手金融機関JPモルガンも26日、FRBが12月に0.25%の利下げを実施するとの見方を示しています。
FRBは10月にも0.25%の利下げを実施しており、12月に追加利下げが決定されれば3会合連続の利下げとなります。金利低下は企業の資金調達コストを抑え、株式投資の魅力を相対的に高めるため、投資家心理を押し上げる要因となっています。ただし、FRB内部では利下げに対する意見が二分されており、インフレ再燃への警戒感も根強く残っています。
日銀審議委員の発言も市場の注目材料に
27日には日本銀行の野口旭審議委員が地方での挨拶や記者会見を行いましたが、市場関係者の間では「予想されたよりもタカ派的な内容ではなかった」との受け止めが広がりました。日銀の金融政策正常化プロセスに対する警戒感が和らいだことも、株価にプラスの影響を与えたと考えられます。
日銀は次回12月19日の金融政策決定会合で追加利上げを実施するかどうかが焦点となっています。FRBが利下げを継続する中での日銀の利上げは、為替市場や国際資金フローに大きな影響を与える可能性があり、市場参加者は両中央銀行の動向を注視しています。
株式市場の即時反応──半導体株が牽引役に
株式市場の動向
27日の日経平均は始値が4万9868円79銭、高値が5万322円14銭と、終日買いが優勢の展開となりました。東証プライム市場の売買代金は概算で4兆9659億円と商いも活発でした。値上がり銘柄数は全体の約9割に達し、市場全体に強気ムードが広がりました。特に半導体製造装置関連やAI関連株への資金流入が顕著で、ソフトバンクグループは上場来高値を更新する場面もありました。データセンター関連のLink-Uグループやプライム・ストラテジーなどもストップ高を記録し、テクノロジーセクターへの期待の高さを示しました。
為替市場の動向
ドル円相場は27日に156円前半で推移し、動意に乏しい展開となりました。米国市場が感謝祭で休場となり、市場参加者が限られたことから、為替市場の流動性も低下しました。円安傾向が一服したことで、輸出関連株の上値は限定的となりましたが、全体としては安定的な推移が株式市場の支援材料となりました。28日も米国市場は短縮取引となるため、為替市場では引き続き流動性の低下に伴うスプレッド拡大や急変動への警戒が必要です。
債券・金利の変化
米国市場が休場だったため、米国債の取引は行われませんでした。ただし、前日26日には米国の長期金利が低下傾向を示しており、FRBの追加利下げ観測を反映した動きとなっていました。日本の長期金利も安定的に推移しており、日銀が急激な金融引き締めに転じるとの見方は後退しています。
原油・金などコモディティの反応
27日朝方の国内商品先物市場では、金が続伸しました。FRBが12月に追加利下げを決めるとの観測が根強く、金利の付かない金の投資妙味が増すとの見方から買いが継続しました。一方、原油は続落となり、世界経済の成長鈍化懸念が価格を圧迫する形となりました。
暗号資産市場の値動き
米国市場休場の影響を受け、暗号資産市場も比較的静かな動きとなりました。ビットコインは9万ドル台後半で推移し、大きな変動は見られませんでした。FRBの金融政策への期待が引き続きリスク資産全般を支える構図となっています。
12月の金融政策決定会合に向けた焦点
今後の市場動向を左右する最大の焦点は、12月に予定されている日米両中央銀行の金融政策決定会合です。FRBは12月17-18日、日銀は12月19日にそれぞれ会合を開催します。
FRBについては、市場では3会合連続の利下げが有力視されていますが、FRB内部では意見が二分されています。パウエル議長は慎重な姿勢を示しつつも、労働市場の軟化リスクに対応する必要性を認識しています。一方、インフレ再燃を警戒する声も根強く、12月の判断が注目されます。
日銀については、追加利上げの可能性が焦点となっています。ただし、FRBが利下げを継続する中での日銀の利上げは、円高を招き日本企業の収益を圧迫する懸念があるため、慎重な判断が求められます。投資家は、両中央銀行の金融政策の方向性とその影響を注意深く見極める必要があります。
来週以降は、11月30日に発表される米国のADP雇用統計やGDP改定値、12月1日のPCE(個人消費支出)、12月2日の米国雇用統計など、重要な経済指標が相次ぎます。これらの結果が、FRBの12月の判断に大きな影響を与えると予想されます。
ミニ用語解説
SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数):米国の主要な半導体関連企業30社で構成される株価指数です。半導体業界の動向を示す指標として、世界中の投資家に注目されています。
FOMC(連邦公開市場委員会):米国の金融政策を決定する最高意思決定機関です。FRB理事7名と地区連銀総裁5名の計12名が投票権を持ち、年8回開催されます。
金融政策正常化:異例の金融緩和政策から、通常の政策に戻していくプロセスを指します。日銀の場合は、マイナス金利やイールドカーブコントロールなどの緩和策を段階的に解除し、利上げを進めることを意味します。
参考・出典
※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。
価格や指標は2025年11月28日(木)時点の情報に基づいています。

